牛肉の部位と特徴

牛肉の部位と特徴
牛肉の部位と特徴

牛肉の部位とは

牛肉の部位は「食肉小売品質基準(農林水産省制定)」によって11部位に分けられています。さらに、これ以外の部位は公益社団法人日本食肉格付協会(JMGA)の定める「牛部分肉取引規格」で、次のような13部位に分類されています。

その各部分肉の名称は「ネック」、「かた」、 「かたロース」、「かたばら」、「ヒレ」、「リブロース」、「サーロイン」、「ともばら」、「うちもも」、「しんたま」、「らんいち」、「そともも」、「すね」の13とする。

公益社団法人日本食肉格付協会(JMGA)「牛部分肉取引規格」より一部抜粋

ここでは、ふじなわ独自に主要な16部位についてご紹介いたします。

それぞれの部位の説明

Tongue

タ ン

牛の舌の部分。タンパク質・鉄分・ビタミンBが多く含まれており、脂肪分は少なめですが意外と高カロリーな部位。一頭から約1~1.5kgほどしか取れないため、ある意味希少部位と言えます。牛タンは以下、タン元(タン芯/芯タン/タンカルビとも呼ばれる)|タン中|タン先|タン下の4つに分類され、舌の付け根側のタン元がもっと特上タンとされます。

 Shoulder Clod

ネック

首の部分の肉。ネジとも呼ばれます。首はよく動かす部位なので、牛肉の中でもとても固い部位であり、牛肉の中でも低カロリーな部位です。固い分、コラーゲンが多いのでとても栄養価が高い部位でもあります。脂肪が少なく赤身の多い硬めの肉質で、じっくり煮るとコクや旨味が味わえます。スープや煮込み料理に適しています。

Chuck-Roll

肩ロース

ロース全体の先端にあたる部位。肉厚でやわらかく、きめが細かいのが特徴です。脂肪はほどよい霜降り状で、濃い風味。味や香りもよいので厚切りから薄切りまで幅広い料理に利用できます。薄切り肉はすき焼きやしゃぶしゃぶにおすすめです。

Brisket

肩バラ

肩の部分にあるバラ肉で、厚みが特徴です。肩バラは前バラとも言われますが、日本では「ブリスケ」とも呼ばれます。胸骨の部分にある「ムネコブ」と呼ばれるバラの先端部は肥厚して硬い部分となります。肩ロースに接する一部は濃厚な風味が特徴で、「ショートリブ」と呼ばれる部分は海外ではリブロースと同等の価値として評価されています。韓国料理の焼肉で高級なカルビ焼きでは、この部位を使用します。

Shoulder Clod

ウデ(肩)

ウデは前脚の方の部位で、このウデから希少部位であるみすじ、うわみすじ(コバンザメ)、肩三角(サンカク)、小三角(こさんかく)、二の腕(マクラ)、とうがらし(トンビ)が取れます。特に最近「みすじ」は大人気です。旨味が濃厚で、「牛肉の大トロ」とも呼ばれるほどです。

Chuck-Roll

リブロース

ロースという部位は牛の肩から腰にかけての肉の総称で、肩ロース、リブロース、サーロインに分割されます。リブロ―スは肉質がきめ細かく、霜降りも入りやすい上級部位。細かく脂が入っているため熱を加えると肉汁が溶け出してジューシーな食感に。肉の旨味をしっかりと感じることができる部位としてステーキ、焼肉、バーベキューといった、肉そのものを味わう料理がおすすめ。ブロックの場合はローストビーフにするとおいしいですよ。

Strip-Loin

サーロイン

ロースからとれる背肉の部位。運動量が少ないので少なくやわらかいのが特徴です。赤身肉の中に適度にサシ(脂)が入り込み、赤身肉の凝縮した味わいと、脂身のジューシーさを一度に味わえる“お得な部位”とも言えます。16世紀頃、イギリスのヘンリー8世があまりの美味しさに「この肉に『サー』の称号(男性のナイトの称号)を与える」と言ったという俗説が残っているほど。1cm以上の厚切りステーキで、しっかり食べたい部位です。

Tender-Loin

ヒレ

サーロインの内側にある細長い部位で、牛肉の中でも運動量が極めて少ない部分のため、最も柔らかい部位と言えます。近畿地方ではヘレ、フランス語ではフィレ、アメリカ産牛肉ではテンダーロインと呼ばれます。ヒレの中心(真ん中の厚みのある全体の約4分の1ほどの)部分は「シャトーブリアン」と呼ばれ、貴重なヒレの中でもさらに希少な超最高級部位です。牛一頭から約2kgほどしかとれません。サーロイン(ロース)が牛肉の王様と称されるのに対し、ヒレは牛肉の女王様と言われます。

Sirloin Butt

ランイチ

腰からももにかけての部位「ランイチ」はランプ(rump)とイチボに分割できます。ランプはヒレから、イチボはサーロインからつづく部位です。肉のきめが細かく、やわらかな赤身肉です。溶けるようにやわらかい部位もよいのですが、「肉を食べた!」という満足感が高いのは、ここのようなほどよい歯ごたえのあるお肉ではないでしょうか。適度な脂肪でうま味と風味が強く、ステーキやソテーに適しています。

Short Plate

中バラ

あばら骨の周辺の部位。赤身と脂身が交互に重なり合った層になっていて、脂がのっていて濃厚な旨味を感じられるのが特徴です。お腹の上の方(お腹の中心側)が中バラ、下側(外側)の方を外バラと言います。中バラは三枚肉とも呼ばれ、中バラからはカイノミ、カッパ、カブリ、プレート、インサイドなどを取ることができます。

Short Plate

外バラ

焼肉といえば、その代名詞がカルビですが、韓国語で「牛の肋骨」の意味。日本で言うバラ肉の部分です。こちら外バラからはカッパ、カブリ、バラ山、インサイド、縦バラ、横バラ、ササミなどを取ることができます。バラ山はゲタとも呼ばれていて、中落ちカルビという名でメニューに出されることも。

Knuckle

シンタマ

モモは「内モモ」「外モモ」「ランイチ」「シンタマ」に分かれます。「シンタマ」は肉塊が球状をしていて全体的に赤身の多い部位。牛肉部位の中で非常に小割(分割)・すじひきの技術が必要な部位とも言えます。「マルカワ」「シンシン」「カメノコ」「トモ三角」の4つの部位に分割できます。

Top-Round

内モモ

モモは「内モモ」「外モモ」「ランイチ」「シンタマ」に分かれます。「内モモ」は最も脂肪が少ない部位で、赤身を好む人、脂肪を嫌う人、ヘルシー志向の人には最適の部位です。ローストビーフや煮込みなどに適しています。赤身が中心の「ラウンドステーキ」は内モモを使ったものです。

Out Side Round

外モモ

外モモは別名ソトヒラ。モモの中でも一番硬い部分です。一番硬いということは逆に言えば一番動いている筋肉ということ。つまり肉の味が濃い部位なんです。硬めのお肉として、挽肉にしたり、すき焼き、しゃぶしゃぶなど煮込み料理によく使われます。なお、ソトモモの希少部位が「千本筋(センボンスジ)」。名の通り千本の筋があるところからの名づけです。コンビーフに使われるのもこの部位です。

Tail

テール

尾のお肉です。牛肉のなかでもとくにかたい部位ですが、長時間煮込むことでゼラチン化し、トロトロにやわらかくなります。高タンパク質でコラーゲンたっぷりの部位です。テールスープがおすすめです。スープに溶け出す旨みとコラーゲンを堪能でき、ホロホロのお肉も楽しめます。

Shin / Shank

スネ

前足を前スネ、後ろ足をトモスネと言います。前スネから取れる希少部位が、繊維が入り組んだ筋膜の部分「力こぶ」。見た目は硬そうでも味は濃厚。長時間煮込むとコラーゲンが溶けだして、やわらかくなりおいしく食べられます。シチューやカレー、ポトフがおすすめです。なお、スネから作るひき肉は最高級品と言われています。

なお、牛肉の部位の英語名ですが、アメリカとイギリスでは異なります。ここではアメリカ(北米)英語で統一させました。
参考:公益財団法人日本食肉消費総合センター